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関根一夫先生の新刊 「生きるを励ますアート〜五感・マインドフルネス・臨床美術」のご紹介

絵を描くことで脳活性をすすめる認知症リハビリ・プログラムとして始まった「臨床美術」。創立者の一人である関根一夫先生は、ファミリーサポートの担当として認知症の介護家族の話を聞きつづけ、“何ができるかではなく、その人の存在そのものを喜ぶ。そこにいてくれることを感謝する”「存在論的人間観」を提唱してこられました。そして2016年に臨床美術の創作活動に参加して、アートの力を再発見。2022年からはご自身のカウンセリング室でもアートを取り入れてます。


何も言わずに、描くことに集中する15分。先生は元気になっていくクライアントの変化にとても驚いたそうです。


臨床美術の講座では、いつも和やかで安心感が広がります。それは何故なのか。

臨床美術に含まれている、アートの力とは何なのか。


本書では関根先生が研究されているマインドフルネスとの共通点や、カウンセリング室でのエピソードなどを交えながら、「五感による感じとり」をキーワードに、生きるを励ますアートの力について解き明かしていきます。

本書は単なるアートセラピーの専門書ではなく、「いてくれてありがとう」のマインドとアートの創作活動を、人を生かす普遍的な力を持ったものとして考察し紹介する内容です。


対人援助のお仕事をされている方、アートの力に注目されている方、ご自身が癒されたいと感じている方にもお勧めです。

本書がアートの可能性について、多くの方に関心をお持ちいただける1冊となれば幸いです。


(一般社団法人 ART Along 代表理事 フルイミエコ)


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「生きるを励ますアート〜五感・マインドフルネス・臨床美術」

著者 関根一夫

構成 一般社団法人 ART Along

出版 クリエイツかもがわ

価格 定価 2420円 


(目次)

 臨床美術と存在論的人間観

「機能論的人間観」と「存在論的人間観」

 臨床美術体験からの気づき

 臨床美術における五感による感じ取り

 五感の発動とマインドフルネス

 カウンセリングの場で実感した「アートの力」

 生きるを励ますアート ―伴走型支援とも関わって


(寄稿)


 「認知症と臨床美術」

 水野敏樹(JCHO京都鞍馬口医療センター院長 京都府立医科大学医学研究科脳神経内科学特任教授)


 「アート活動による意味生成カウンセリングの可能性」  

 北澤晃(日本臨床美術協会副理事長 臨床美術学会副会長 富山福祉短期大学名誉教授)

 

「『臨床美術』とカウンセリング」  

 永原伸彦(笠間の森カウンセリングルーム代表)


 「美術の喜びをすべての人に」  

 フルイミエコ(画家 一般社団法人ART Along 代表理事 日本臨床美術協会認定臨床美術士)




 

本書の帯には生活困窮者支援に取り組むNPO法人抱樸(ほうぼく)の代表で、牧師の奥田知志先生に推薦のお言葉を頂きました。心から感謝いたします。

奥田先生が教会週報に掲載された本書の推薦文を、ご許可をいただいた上で紹介させていただきます。



「いてくれてありがとう―臨床美術の人間観」奥田知志

 東八幡教会にも来てくださった関根一夫先生が臨床美術に関する本を出版される。本の帯文を依頼された。関根先生にはお世話になっており、お断りすることはできない。恐縮だがお受けすることにした。 臨床美術における人間理解の基本理念は「存在論的人間観」である。それが集約されたことばが「いてくれてありがとう」だ。 現代社会は「機能論的人間観」に満ちている。「機能」を重視し「出来ること」を是とし、それをもって「その人の価値」を評価する。「機能的に優れている人」に高い点数が、「できない人」には低い点数がつく。結果、「ダメな人」というレッテルが貼られる。あるいは「ダメな自分」と自己否定がはじまる。「能力のあるできる人」「うまい人」「優秀な成績を残した人」には居場所があり、そうではない人は「居場所がない」。それが「機能」重視の社会の実相だ。「能力」や「生産性」を偏重する社会の中で「厳しい評価」にさらされているうちに「消えてしまいたい」という衝動に駆られるのはむしろ当然の帰結なのだと思う。そんな社会でいいのか。関根先生らしい静かで優しい、しかし鋭い問いが投げかけられる。 この「機能論的人間観」に対するカウンターカルチャー(対抗文化)が「存在論的人間観」である。それは「存在そのものを大切なものと考える発想」だ。「その存在といのちに対して、いてくれてありがとう」という姿勢で臨むことで「心が元気になる土台」が提供される。それがあるべき社会だと関根先生は言う。「存在論的人間観」とは「できることはうれしいこと、できないことを残念なことだと認めつつ、とにかくあなたがそこに存在し、生きていること」を尊いこととして受け止める人間観。「いてくれてありがとうございます」「お会いできてうれしいです」「来てくださってありがとうございます」「これはきれいですねえ」「それはよかったですねえ」。これらの言葉は相手に居場所を与える。 同じく臨床美術士のフルイエミコさんが東八幡教会で臨床美術のワークショップをして下さったことがある。僕も参加させていただいた。「美術」と言われると少し緊張したが上手下手ではない。思いを線や形、色で表現する。いや、正確に言うと僕が認識する「思い」を超えて自分が描かれる。紙の上に描かれたもうひとりの自分は誰に否定されることなく「存在していた」。その事実をその場にいた人々が認め喜び合える。そんなひと時だった。 臨床美術は「生きるを励ますアート」だと関根先生は言う。薬だけでは回復しなかった人が絵を描くことで楽しみながら回復していく。アートが持っている可能性を再発見し活用していくのが臨床美術なのだ。 以下が帯文である。「『どう評価をされるだろうか』。ドキドキする自分がいる。不安の中、ぼくの存在はけずり取られていく。そんな時、『いてくれてありがとう』が届く。いのちのことばだ。臨床美術は絶対的にぼくの存在を肯定してくれる。ドキドキしているあなたにとどけたい。そんな本。」













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