生きるを励ますアートの力は本来は誰にでも開かれている

私たちはアートの創作が、人々が日々を生きる上での「励まし」「気晴らし」「気分転換」「生きがい」として役立つものだと考えています。

しかし日本ではこのような生きるを励ますアートの力について、まだ実感している方は少ないように思います。

「アートを観ることは楽しいが描くのは苦手。」「才能がないからできない。」

そういう声をよく耳にするからです。

でも本来のアートはとても開放的であり、誰にでも道は開かれたものだと思います。

音楽では素晴らしい歌い手や演奏者がいるのと同時に、誰もが好きな歌を口ずさみ、仲間と一緒に演奏を楽しみます。

同じように美術においても素晴らしい画家の仕事と作品があるのと同時に、誰もが自分のために描き、仲間と共にアートの創作を楽しめるのです。

創作にあたっての感じかたには定義はありません。ですから、正解も不正解もありません。

感じたままに描いたものに間違いなどありません。

誰でもちょっとしたきっかけがあれば、自分らしく描き表現を楽しむことができます。

  

なぜアートの創作が、「励まし」や「気晴らし」になるのか

アートの創作のプロセスは五感を使い、画材を使い、色や形を使い、頭を使い、とても集中できます。

自分の感性について気づくことができ、新しい自分を知る機会となります。

花や野菜や果物を描くとき、目だけで観察するのではなく、触ったり、香りを嗅いだり、味を感じたりすることがあります。

そのうえで絵の具やオイルパステルなどの画材に触れると、見慣れたはずの世界がまったく違うもののように再発見できる喜びをもたらすことでしょう。

悩みや心配なことがあるとしても、描き終えてみると気持ちがすっきりして、世界の見方が少し変化したと感じられることがあります。

それは必ずしも根本的な解決ではないかもしれませんが、深呼吸のように心身がほぐれて、新しい力が湧きあがる泉のような役割を果たすことでしょう。

誰もがアートを自分の味方にすることができます。 

 

「いてくれてありがとう」の関係は人を支える

生きるを励ますアートを他者と一緒に取り組めたら、喜びと楽しさを共有できる経験となります。

アートは年齢、性別、人生経験などに関係なく、どこでも取り組めることが魅力です。

上司と部下、親と子、ケアする側とされる側などの日常の立場を離れ、同じ創作の経験のもとに作品を介して対等な対話が可能となり、相互理解の助けとなります。

ありのままで大丈夫。そのままで魅力的。人は違っていることが素晴らしい。

アートの創作は私たちに、きっとそのことを実感させてくれます。

感じたままに描いたものに間違いなどないので、互いを尊重し、互いの感じ方を受け止めるのです。

そこで「いてくれてありがとう」の心が育ちます。

「いてくれてありがとうの心」を育てながら、お互いに受け止めあえる関係が成立したら、それはきっと日々の暮らしの支えとなることでしょう。 

​

 臨床美術の現場に溢れる生きるを励ますアートの力

このようなアートの創作による「生きるを励ます力」について、私たちは臨床美術の現場実践を通じて強く感じてきました。

臨床美術とは1996年から日本において、認知症の改善を目的に研究開発されたアートセラピーのひとつです。

誰でも取り組めるアートプログラムや、存在をそして麗しい部分を認め合うアートコミュニケーションなどを特徴としており、NPO法人日本臨床美術協会が認定する臨床美術士が実施します。

老人ホームや保育園、イベント会場などでの講座はどこも笑顔が溢れていて、私たちは人々が生き生きとアートを楽しむ様子に数多く出会ってきました。

今までの実践の中で感じてきた生きるを励ますアートの力を、よりいっそう社会の隅々に行き渡らせ人々の暮らしの向上に貢献することを目指して、関西の臨床美術士が中心となり、2022年に一般社団法人ARTAlongを設立して新しく活動をスタートします。

​

 アートがお役にたてるかも・・・ART Alongはどこへでも出かけます

ART Alongは個人の皆様はもとより、多様な目的を持つ法人や団体の皆様とつながり、それぞれのミッションに伴走し寄り添って参ります。

具体的には臨床美術のワークショップ、講座開講はもちろん、イベント、研修会、各種ミニ集会、スタッフのコミュニケーション促進にアートを生かす手法などのご提案をいたします。あらかじめ固定的なパターンを持たずに、アートが介在することで皆様の生活と働く方々のお役に立てるようなオリジナルの提案、実施に必要な人材問題の解決など、ご要望に応じながら持続可能な仕組みを一緒に考えて参ります。

私たちの活動に関心をお持ちいただけましたら、ぜひご連絡をください。ぜひ一緒に、アートを味方にしながら生きていきましょう。